コルクマットの上にこたつを使いたいという方も多いと思います。
以前、ジョイントマットについて、ジョイントマットの上にこたつって大丈夫?という記事を書きました。
ここに大方の説明はしてあるので参考にしていただけたらと思いますが、コルクマットになると少し事情も違ってくるので、そのことについてこちらで補足的に説明しておこうと思います。
目次
コルクマットの耐熱温度
例えばわかりやすく↓のコルクマットで説明していきます。
このコルクマットの場合、耐熱温度が60℃となっています。
MGSLという検査機関でJISの耐熱試験を準用した試験が行われた結果の耐熱温度です。
床暖房やホットカーペットの表面の温度が20℃~45℃とされているので、それらに対しては十分な耐熱温度を持っていると言えます。
こたつはおよそ30℃~40℃くらいに温度設定できるようですが、長時間使用すると高温になる場合もあるでしょう。
それにしても耐熱温度が60℃あるなら十分と言えなくもないでしょう。
コルクマットの懸念材料は2重構造
耐熱温度は十分備えていますが、コルクマットには懸念材料があります。
それは構造です。
ジョイントマットの場合、EVA樹脂やPE樹脂といった合成樹脂だけでできいることがほとんどです。
コルクマットの場合は、コルクが100%使われているようなイメージを持っていらっしゃる方も多いと思います。
確かに、コルク100%のものもあります。
ただ、よくお店などで見かける多くのコルクマットは、コルクとEVAなどの合成樹脂との2重構造となっています。
厚みのある合成樹脂の表面に、薄いコルクシートが貼られているといった具合です。
この点がこたつを使う時に、ジョイントマットとは少し違ってくる点となります。
こたつの熱はコルクと合成樹脂に影響
コルクマットの場合こたつの熱が、コルクと合成樹脂に影響を及ぼすこととなります。
もちろん冒頭に説明した通り、コルクマットは2重構造であっても60℃の耐熱温度があることが証明されています。
耐熱温度は参考程度に
ただ、耐熱試験ではそもそも、ある一定の温度の中に1時間さらして変形などが見られなかったかどうかという試験になります。
普段こたつを使うのは長時間になったり、ワンシーズンの長期間に渡ったりするでしょう。
ですから、耐熱温度はある程度参考にはなりますが、それはあくまで参考であるだけだったりします。
日々かかっていく熱によるストレスや、個人個人の使い方の違いによる負担は、なかなか一定の条件として測定するのは難しかったりします。
まず、この点をしっかり認識しておきましょう。
コルクと合成樹脂の反応の違い
耐熱温度もあくまで参考程度のものですが、さらに、コルクマットの場合、2重構造のものが多いということで、ジョイントマットとはまた違った心配があります。
例えばこたつの長期間の使用で変形が見られるようになったという場合、ジョイントマットのように1種類の素材だけ使われているのなら、その素材の反応だけが全てになります。
しかし、2重構造のコルクマットだとそういうわけにはいかなかったりします。
こたつの熱に対して、コルクにはコルクの反応が見られますし、合成樹脂には合成樹脂の反応が見られたりするのです。
コルクマットを干した時の反応の違い
例えば、コルクマットを丸洗いして、その後ベランダなどの干しておくとします。
この時、よくされる干し方は、ベランダの壁に立てかけて干す方法だと思います。
実は、この干し方はあまりおすすめできません。
それも、やはりコルクとEVAなどの合成樹脂が使われているという2重構造によるところです。
洗って水分にさらされた時、コルクと合成樹脂では水分を含んだ時の膨張率がまず使います。
次に、ベランダに干して乾燥していくときの収縮率も双方では違ってきます。
つまり、それぞれ水や乾燥に対しての反応が違う素材が一つになったものがコルクマットだということなのです。
ですから、立てかけて干してしまうと、その収縮率の違いから反りや変形が起こりやすくなってしまいます。
ですからコルクマットを干す時は、平らなところに水平に干すのが正解だったりします。
さらに日陰がいいでしょう。
日光による熱に対する反応もまた双方で違うからです。
熱への反応の違い
そもそもコルクマットやジョイントマットに使われるEVA樹脂などは、熱に強い素材とは言えません。
「床暖房可」などとなっていて耐熱温度が高いものは、他の同じような素材のものに比べて比較的高いというにとどまります。
それでも、敷物として使うには十分なので、特に問題なく使えることが多いです。
ただ、コルクマットを日向の直射日光が当たるようなところに干したり、夏の車の中に放置したりすると、思わぬ程の高温状態が続いてしまったりする可能性があり、そうなると、いくら耐熱温度の高い合成樹脂だとしても、急激に劣化を起こして変形してしまったりということも考えられます。
また、今回テーマになっているこたつや、他にも床暖房、電気カーペットなど、それほど高温にならないものであっても、それを使い続けた時の熱の蓄積は徐々に劣化を促していかないとも限りません。
ただ、それがどれくらいの高温であったり、低温でもどれくらいの蓄積で変化がみられるようになって、それによりどのような変化がみられるかというのは、やはりコルクと合成樹脂とでは違ってきたりします。
ですので、コルクにはダメージがなくても合成樹脂にダメージがあって縮んでしまったら、それに合わせてコルクも反ってしまうでしょうし、逆でもそうなります。
どちらにもそれぞれの形でダメージが現れる場合ももちろんあるでしょう。
コルクの接着剤と熱
さらに、コルクをコルクシートとして加工する時、コルクを砕いたものと接着剤と混ぜて成型加工されることがほとんどです。
この時使わる接着剤には、熱を加えることで硬化するものと、逆に軟化するものとがあります。
後者の場合だと熱により不安定になってしまう可能性も考えられます。
コルクマットはこたつには向かない!?
コルクマットをこたつの下に使われることも多いですが、正直あまり向かないかなとも思います。
コルクマット自体の説明書きにも、「こたつには使用できません。」とはっきり明記されているものすらあるでしょう。
ここまでのことから、コルクマットは熱の影響で反りや変形が起きやすいということがわかっていただけたと思いますが、それこそがこたつへの使用がはばかられる原因だったりします。
つまり「熱」が問題になるので、ここにさらに床暖房や電気カーペットを併用してしまったとしたら、もっと影響も深刻になるでしょう。
こたつをどうしても使いたい時は
使用不可となっていてもどうしてもコルクマットの上に使いたいという時は、それはもう自己責任で劣化が早められるのも受け入れなくてはいけません。
ただ、熱の伝わりさえ少なくできれば幾分かマシにはなるでしょう。
コルクマットの上に直に使われることも少ないと思いますが、熱の伝わりを意識して少し厚みのあるこたつ敷布団を重ねてみたり、断熱効果の高いラグを重ねてみたりして、少しでも熱が伝わらないようにするといいでしょう。
ただ、ジョイントマットの上にこたつって大丈夫?でも説明していますが、注意点としてはやはりダニやカビの問題です。
敷き物を重ねて敷くと、ダニやカビが発生するところが物理的にも増えますが、その一方で、掃除も億劫になりがちです。
確かに掃除の際にこたつをどけ、敷布団をはがし、コルクマットをはがしというのは大変かもしれませんが、できるだけ定期的に掃除をして清潔な状態を保つようにしたいものです。
こたつの電源を入れないという方法
また、思い切ってこたつの電源を入れないという方法だってあります。
コルクマットは断熱効果もあるので、底冷えなどを防いでくれたりします。
保温効果も期待でき、体温などで温まりだすと心地良い温かさをキープできたりします。
さらにこたつ敷布団も敷くならば、よりその効果も高まるでしょう。
掛布団もあるので何もないよりかはずいぶん暖かくなります。
こたつは大変暖かくて、日本の冬には必需品のようでもありますが、多くの健康被害につながることも知られています。
どうしても、うたた寝をしてしまって風邪をひきやすくなったり、血流障害を起こしてしまったり、低温やけどを起こしてしまったり、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。
必要以上に温めすぎず、体にも負担の少ない使い方として電源を入れずに使う方法は、大変健康的だったりします。
この方法だとコツクマットの熱による劣化も気になりません。
さいごに
コルクマットでもコルクが100%のものだとまた熱による反応も違ってくるでしょう。
ただ、やはりそれでもこたつへの使用はできないとされていることが多かったりします。
先ほど、電源を入れないで使う方法をご紹介しましたが、そもそもコルクマットは、できるだけ床暖房などを使わなくてもいいようにecoな観点から選ばれることも多かったりします。
底冷えを防げる他、コルクの優しい風合いや肌触りは何物にも代えられないような心地良さがあり、ナチュラル志向の方に特に重宝されます。
こたつの良さはすごくよくわかりますし、正直私も冬の間はそこから動かない、いや、出られないような怠惰な生活になってしまったりします。
それも大変ヌクヌクと心地よいのですが、それを続けていくとどんどん体の調子が悪くなっていくのも実感したりします。
一度、電源をつけてしまって、そのシーズン中にそれを辞めるのは大変難しいでしょう。
しかし、使うシーズン前に、
「今年こそは脱こたつの電源!」
といった形で、底冷え対策には断熱性のあるコルクマットを取り入れていただくというのもいいかと思います。